給与計算代行業者の選定に迷った時に考えること

1.給与計算をアウトソースする理由

給与計算を企業が外部業者にアウトソースする理由は色々あると思いますが、最も多い理由は「担当者の突然の退職」が多いような気がします。それ以外に「経営者等の親族が行っていたが従業員が多くなり外注化を検討」ですかね。ネガティブな要因として「従業員に役員報酬を見せたくない」というのも結構多い気がします。それくらい給与計算業務は専門性が必要な業務であり、経理担当者が片手間でできる代物ではないということです。

2.給与計算業務がなぜ内製化が難しいのか

内製化するためには「担当者の豊富で広範囲な知識と高い専門スキル」が求められます。そんな人材には月50~70万円程度の高給が必要となりますが、中小企業経営者の頭は、管理部門の一業務としかとらえていないために、そんな大金を支払いません。だから適当な人材しか集められず、結局、給与計算業務の難しさ、奥深さ、秘匿さに耐え切れず、労働条件面、メンタル面で破綻して辞めていく担当者が多いのです。この真の理由を中小企業経営者は全く分かっていません。とはいえ、規模が大きくなると内製化に成功している企業があります。それはそれなりの好待遇で迎え入れているということになります。

3.担当者が根付かない根本理由

「担当者の豊富で広範囲な知識と高い専門スキル」に尽きます。給与計算業務は幅広い知識が必要です。労働基準法や労働契約表、安全衛生法などの労働法の知識、年金や健康保険の知識、所得税や住民税の知識、年末調整の流れの知識。それに加えて社会保険料や労働保険料の徴収の知識、算定業務や月変(随時改定)の知識です。これを上長などの指導もなく、一人で習得するのは至難の業です。

弊社は現在10名程度のスタッフがいますが、ベテランスタッフが新人スタッフに、この手の知識やノウハウを伝授することができるので、力量のあるスタッフをどんどん育成することが出来ていますが、一企業の給与計算担当者となりと、上長も給与計算の仕組みに詳しくないケースがほとんどで、担当者が孤立無援となりがちです。

そこにきて、給与計算結果でミスが出ると、従業員から責められ、経営者から叱られ、踏んだり蹴ったりな状況に陥ります。この状態になると「やってられるか!」ってなるのも当然です。だれも援護してくれないのですから。これが担当者が根付かない(退職する)本当の理由です。

4.中小企業が内製化にこだわる理由は何ひとつない

これが私たちの考えです。内製化するメリットはそれほど多くないです。デメリットの方が多い気がします。従業員30名程度までなら内製化せずに専門業者にアウトソースすればよいです。資産(給与計算結果など)の二重化によるバックアップ機能にもなるし、納期や正確性も担保できるし、従業員一人雇用するコストを考えれば、担当者の人件費の1/3とか1/4に抑えられるはずです。

あとは、経営者が組織の考え方を一変できるかどうかですね。内製化にこだわる経営者は、組織のコミュニケーションや意思疎通にとてもこだわります。外注化することでそれが阻害されないかをとても気にします。外部業者もレベルが色々なので、業者選定を間違うとあとでとても痛手を被ることになります。業者選定が最大のポイントとなります。

5.業者選定の5つのポイント

選定のポイントは中小企業の財務状況等で色々変わると思いますが、以下は弊社が思う選定ポイントです。弊社の給与計算ポリシーににもしている項目となります。

(1)クライアント様からの質問等はつねに即レスで対応でるか?

色々な質問を投げかけられても2,3返事がない業者ってたくさんあります。それでは信頼関係が構築されません。給与計算業務は毎月のこととなりますので、「即レス」で返答することが業者の第一使命だと我々は思っています。常にコミュニケーションを密にする仕組みを構築している業者かどうかを見極めることが大事です。

(2)給与計算請負の導入時に2か月程度の並行期間を設けているか?

テストラン期間で給与計算結果を検証して本番導入を迎える慎重さが業者には必要だと思います。いきなり給与計算請負業者を切り替えて本番運用を行うと、給与計算結果でのクライアント様と給与計算業者との間で食い違いが多数でてきます。そうなると、最初から躓き信頼関係が壊れてしまいます。そうならないために、給与計算業務の請負にはテストランは必至事項だと思います。

(3)あらゆるオプションを提供できる業者か?

給与の振り込み対応、住民税納付対応、有給管理など給与計算に付随する業務をオプション等で選択できる仕組みがあるかどうかは大きなポイントです。クライアント様は1社に丸投げ状態にしておきたい経営者も多く、それを受け止められる体制になっているかどうかを確認してください。

(4)スタッフは最低でも4,5人在籍しているか?

給与計算は納期が決まっている業務なので、支給日によってはスタッフが不足するときがあります。その際に1人とか2人で行っている業者だと、誰かがインフルエンザやコロナにかかった場合業務を回せなくなるリスクがあります。複数人(できれば4,5人は在籍)していることを確認した上で委託契約を結んでください。

それと、最も大事なことはスタッフの給与計算業務に対するスキルの証明です。実務経験なや保有資格などヒヤリングするのも良いと思います。弊社の場合、ホームページに「給与計算実務検定」に合格した者はその無記載しています。この「給与計算実務検定」の合格者は労働法や給与計算実務の知識が一通り習得できている証となります。この資格に限りませんが業者選定する際の一つの目安となります。

(5)決して「価格の安さ」だけで決めないこと

これは結構重要ですね。人を一人雇用することを考えてください。今20万円で給与計算担当者なんか採用で決ません。最低でも30万円程度は必要かと。それに会社負担分の諸経費を加算すると35-40万円必要になるわけです。

その人件費の1/3の10数万円程度の投資だと思えば、それほど高くないはす。その金額で御社な望む範囲の給与計算代行業者を選定すればよいです。最低でも2社の相見積もりを取得した方が良いと思います。できれば3社ですかね。

選定ポイントのほとんどは「価格重視」の中小企業が多いのですが、品質やコミュニケーションの密度、レス(返答)の早さ、請負体制(スタッフ人数など)など、複数の要素で選定するのが良いと思います。

2024-03-06

東京中央給与計算センター

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